ECUチューニングツールをAIで洗練
"M"で公開していたE46M3 CSLコンバートのDMEチューニングメソドロジーを、1つのアプリにまとめ無料で使えるようにしました。
このチューニングメソドロジーの元になっているのは、NA M3 Forumのこちらのスレッドです。
(コミュニティ貢献者の方々には、この場でも感謝をお伝えします。)
E46M3は2001年発売の車ですが、いまだ活発にチューニングメソドロジーが研究されているのは、素晴らしいことですね。
ですが、チューニングプロセスが複雑化して、誰でも簡単にというわけにはいかなくなりました。
ちょうど、僕でもコミュニティに貢献できそうなことを探していたので、元業務プロセスエンジニアの知見を活かしてアプリを開発しました。
複数のツール・手順を統合・自動化
これまでのチューニングメソドロジーは、以下のような手順と複数のツールが必要でした。
・MAP&LTFT補正OFF(TunerPro)
・ROの補正(AQ_REL to AQ_REL_ALPHA_N Logfile Converter | スプレッドシート)
・ラムダ集計テーブル作成(Mega Log Viewer)
・VE計算(VE Tuning With Lambda Integrators | スプレッドシート)
・VE比較 vs Stock CSL(VE Tuning With Lambda Integrators | スプレッドシート)
・VEテーブルの編集(TunerPro)
・MAP&LTFT補正ON(TunerPro)
・ウォームアップマップの生成(VE Tuning With Lambda Integrators | スプレッドシート)
・WOTマップの生成(スプレッドシート)
これらのツールを使うのに、データのコピー&ペーストやファイル操作など、手を動かす作業が必要でした。
これを、パーシャルBIN(車両のパラメータファイル)とTestOの CSV(走行ログ)をアップロードし、ダウンロードボタンを押すだけで完了できるようにしました。
チューニングツールの機能
このチューニングツールは、E46M3 CSLのVEマップ(メインマップ)を、走行ログ(ラムダ)をもとに自動調整します。
そして、メインマップのチューニング結果からウォームアップマップも生成できるようにしました。(純正のメインマップとウォームアップマップの係数を利用)
また、WOT(アクセル全開)マップも同様に生成します。
さらにオプションとして、適切な走行ログを取れるようにECUの補正をオフにするパッチもトグルボタンで適用できるようにしました。
・PHACH:MAPセンサー補正OFF、長期燃料トリム(LTFT)補正作動温度100℃
・WOT TH:WOTマップ切替スロットル開度閾値を102.3%に固定する(実質WOTに切り替わらないようにする)
あと、このようなデータ処理ツールを使うときって、検証する為に必ず生データが見たくなりますよね。
チューン前と後を比較できるビューも用意しました。(これ重要)
自分が実際にデータ処理をやっているから、なにを形にしたいか「具体的に言葉」にできますね。
僕はテクノロジー好きで、世界中のツールを探して使い倒しているから、「真似すべき良い部分」と「改良すべき部分」が具体的にイメージできます。
AIに丸投げしても、使えるツールは作ってくれなくて、ここは人間ならではの経験の積み重ねがあるから、AIに指示できるんだなって、しみじみと思います。
使用方法
このアプリはGitHubページにホストされており、下記URLを開けばインストール不要ですぐに利用できます。
https://mss54hp-csl-convert-tuner.tsunagi.app/
また、コードは公開されており、レビューおよび改造を自由に行えます。(MITライセンス)
https://github.com/mushitaro/mss54hp-csl-convert-tuner/
使用の注意点
・読み込みBINは0401のパーシャルBINのみ
・CSVはTestOから出力される;区切りとスプレッドシートから出力される,区切りのみ対応
・ヘッダー名はTestOと完全一致が必要
・各種計算は、各種ツールを手動で処理した結果比較し完全一致を確認
・チェックサム機能はなし
重要:アプリの使用とアウトプットデータの使用は自己責任です。いかなる場合においても当方は責任を負いません。
開発アプローチ
GoogleのAntigravityを使い、一から開発を行いました。
モデルはGemini 3 Pro (high)です。
・基本機能の開発 0.5時間(90%)
・テストとバグ修正 7時間(99%)
・UIの洗練 2時間(100%)
・テスト後の追加機能実装 2時間
・追加機能のテスト1時間
トータル12.5時間の開発時間です。
生成AIによる開発は、バイブ(感性)コーディングとスペック(仕様書)コーディング(.Kiro)がありますが、多くのツールが採用しているバイブコーディングで行っています。
BINを可読可能にする定義ファイルは、既にコミュニティで開発されているので、その情報をもとにBIN(バイナリ)の編集箇所を特定しています。
アプリは、誰でも手軽に無料で使えることに主眼を置いているため、一般的な(ショッピング機能などが付いていない)webページと同様に、画面上でのみ処理が行われます。
ですので、アップロードしたデータがサーバーへ送られる事もなく、処理リソースはWebページを開いているPCが使用されます。
スマートフォンやタブレットでも表示可能ですが、レイアウトはPC固定です。(レスポンシブ非対応)
業務自動化アプリの開発を支援
僕は、業務プロセスコンサルを経験して、日本企業では、エクセルの関数やマクロを使ったマイクロアプリによって、”個人レベルでの業務効率化”が実は図られていたことに気づきました。
これらが、組織に共有されなかった為、経営数字にも業績評価にも反映されなかったと考えています。
欧米は、SAPやSalseforceなどの巨大プラットフォームを使って大きな経営インパクトを出しますが、日本ではこれらでカバーされていない痒い所に手が届く機能を個人がエクセルで作成していると感じています。
このような機能が組織で共有され、統合され、利用されていたらどれほどのインパクトがあるでしょうか。
僕は計り知れないと考えています。(チリツモ)
しかし、共有しようにも、マクロや関数がちょっとしたセル操作のミスやファイルパスの変更で使えなくしてしまったり、操作が複雑で学習コストも高く、利便性が高いとは言い難かったと思います。
ですが、Githubに公開されたWebアプリであれば、デバイスを選ばずインストール不要で利用でき、機能を壊す事もなく、利便性はHTMLやCSSを編集して自由に高めることができます。
僕は、2015年頃から日本のDXは、このようなツールを誰もが作れて使えることが活性化につながると考え、webアプリに着目していました。
2020年頃から、コーディング無しで業務効率化アプリが作れるノーコードプラットフォームに着目していましたが、学習・開発・維持コストに、高いハードルを感じていました。
ですが、2025年、AIがここまで進化した今、やっと僕が考えていた開発メソドロジーが、僕のイメージしていた手軽さで実現できるようになりました。
これはとても素晴らしい事です。
このコンテンツをご覧になった方が僕と同様に考えていたとして、まだAI開発にハードルを感じていらっしゃる方がいたら、喜んでご支援ができたらと思います。
AI開発の学習のコツは、動画コンテンツやテキストコンテンツではなく、作りたいものをメンター(コーチ)と一緒に作ることだと思ってます。
なので、一緒に楽しみながら開発支援ができたらいいなと思ってます。
"M"は半分趣味のコンテンツを公開していますが、趣味から派生する仕事の繋がりも面白いですよね。
"M"のサービス費用は、稟議不要の部長決済で済む範囲だと思いますので、気軽にお声がけください。